その2:視覚障がい者の携帯利用の特徴から見たMVNO

こんにちは。
前回の記事が思わぬ高評価をいただいたため、調子に乗って続きをお届けしたいと思います^-^;
MVNOに乗り換える際の疑問として、「自分の場合はMVNOにして本当にお得なのか」というものがあると思います。前回の記事でも触れたように、通話が一艇料を超えるとむしろキャリア利用より高い利用料を請求されることになってしまいます。
一方、視覚障がいの携帯利用の特徴として、通話が長いという点があります。今回はその他の特徴も抑えつつ、主に料金面から「視覚障がい者にとってのMVNO」について考えてみましょう。

視覚障がい者にみられる携帯利用の特徴

以下は私の独断と偏見で考えた、視覚障がい者に多い携帯利用の特徴です。これ以外にも勿論色々あると思いますので、コメントで随時募集したいと思います。

通話が長い

視覚障がい者の情報入手の基本は、やはり「読むことより話しを聞くこと」です。ICTが普及して点字で読み書きすることが少なくなった現在、その傾向は一層顕著になっていると思います。端末を利用してWebやメールの内容を音声で読み上げさせるよりは、直接相手に電話して情報を入手するという人はまだまだ多いと思います。

パケット通信は少なめかもしれない

反対に、スマートフォンで動画を見たりパソコンでテザリングをするといった使い方をする人はごく一部です。そこでパケット通信は少ない人が大半だとは思いますが、オーディオブックをネットから落として読む(聞く)人は多いと思います。
サピエという、視覚障がい者向けに点字図書や録音図書(オーディオブックのようなもの)の貸出やダウンロードを行っているサービスがあり、らくらくホンやiPhone等の端末からも利用されています。録音図書のダウンロードには1タイトルニツキ100mb以上かかりますので、コアなユーザならパケット通信をそれなりに使っているとも言えます。

Docomo利用者が多い

視覚障がい者の多くはDocomo利用者であり、AUやSoftbankの利用者は本当にわずかです。これには、視覚障がい者に利用可能な端末が長年に渡ってDocomoのらくらくホンしかなかったという歴史的な背景があります。

フィーチャーフォン(特にらくらくホン)利用者が多い

現在、iPhoneにはVoiceover、AndroidにはTalkbackという音声読み上げとタッチスクリーンを制御するための機能が実装されているため、視覚障がい者でもスマートフォンを利用することが可能です(ただしAndroidは機種によって動作が不安定だったりする)。しかし、やはり物理的なボタンがないことに不安を感じる視覚障がい者は多く、タッチスクリーンの操作に対する使いづらさもあり、ほとんどの視覚障がい者がフィーチャーフォンであるらくらくホンを利用しています。

新しい端末に変えたがらない

音声による読み上げ機能等が搭載されていたとしても、本当にそれが動作するのか、他の端末とくらべて操作性に違いはあるのかと言った話は、店舗スタッフやメーカーに聞いても得られないのが実情です。かと言って実機で試すには実際に購入するか、既に使っている視覚障がい者から話を聞くしかありません。
私も以前、「AndroidでもTalkbackという音声読み上げ機能を使えば利用できる」と聞きましたが、ネットにも詳細な情報がなく、実際に使ってみて初めてバグの多さに辟易したという経験をしています。

まとめ

以上から考えると、視覚障がい者が求めるMVNOの条件は以下のようになります。

  • Docomo系MVNO
  • 通話代が定額または安井
  • 現在利用中の端末を引き継げる

この特徴を踏まえた上で、次に各MVNO業者の料金について詳しく見ていきましょう。

MVNOの料金

MVNOの料金は基本的に、パケット通信込の基本料金、音声通話代の2つからなります(留守電やキャッチホン等のオプション料金については割愛)。まずはパケット通信込みの基本料金からみていきましょう。

参考文献

いきなり種明かしのようですが、今回の記事を書くにあたり、下記のサイトを参考にしました(という内容かそのままですw)。下記サイトの方が整理されていますので、本記事だけじゃなくどうかこちらもごらんください。

今回比較・検討したMVNO業者

前述した「視覚障がい者が求めるMVNOの条件」に沿って、今回私は以下の4社をピックアップしました。

社名 利用キャリア メリット デメリット
DTI SIM Docomo
  • おそらく最安
  • 唯一パケットし放題プランがある
  • Docomoの利用者はSIMロック解除しなくても端末を引き続き利用できる
  • 5分以内の通話が無料(オプション)
  • 通話は特別なアプリなしで通話可能、通話先への番号通知も可能
  • 5分を超える通話は他MVNOと同等(\20/30秒)
楽天モバイル Docomo
  • Docomoの利用者はSIMロック解除しなくても端末を引き続き利用できる
  • 5分以内の通話が無料(オプション)、専用アプリ「楽天でんわ」を使うと5分以降も\10/30秒
  • 通話先への番号通知は可能
  • 専用アプリ「楽天でんわ」を使わなければ、5分を超える通話は他MVNOと同等(\20/30秒)
Lineモバイル Docomo
  • Docomoの利用者はSIMロック解除しなくても端末を引き続き利用できる
  • LineやFacebookのパケット通信がカウントされず、Line利用者同士なら実質的に無料通話が可能
  • Lineの有料通話機能「Line Out」を使うと携帯なら\14/分で通話可能
  • 通話先への番号通知は可能(Line Outでは不可)
  • 他MVNOのような無料通話はなし
  • Line Outを使わなければ、通話は他MVNOと同等(\20/30秒)
Y!mobile Softbank
  • 唯一、通話し放題プランがある(オプション)
  • デフォルトでも10分以内の通話が無料(10分以降は\20/30秒)
  • 通話先への番号通知は可能
  • Docomoの利用者はSIMロック解除しないと端末を引き続き利用できない
  • 基本料金が他MVNOの約2倍

基本料金

ほとんどのMVNOでは基本料金にパケット通信が含まれていて、毎月○gbまでいくらという固定性になっています(一部従量制課金の業者やプランもあり)。私はテザリングもするので3gbのプランで探しましたが、その結果をまとめると以下のようになります(2017年1月15日現在)。

項目 DTI SIM 楽天モバイル Lineモバイル Y!mobile
データ3GBプラン ?1,490 ?1,600 ?1,825 ?3,980
データ無制限プラン ?2,900
通話無制限
(オプション)
?780 ?850 ?1,000
通話無制限
オプション詳細
5分までは定額
以降は\20/30秒
5分までは定額
以降は\10/30秒
※楽天でんわ使用時
完全定額
※オプションなしでも10分以内の通話は300回まで無料、以降は\20/30秒
合計/td>

?2,270 ?2,450 ?1,825 ?4,980

今回は3gbプランに通話がなるべく安くなるオプションを付けた合計金額を出してみました。
基本料金はY!mobileが突出して高い以外には、それほど大きな違いはありません。
DTI SIMのみ通信し放題のプランがあるのが特徴的です。

通話料金

次は通話料金です。
ここでは試しに200分通話した場合の金額を試算してみました。
※無料通話時間は考慮していません。

項目 DTI SIM 楽天モバイル Lineモバイル Y!mobile
1分あたりの単価 ?40 ?20
※楽天でんわ利用時
?14
※Line Out利用時
?0
通話時間200分の
場合の料金
?8,000 ?4,000 ?2,800 ?0
基本料金との合計 ?10,270 ?6,450 ?4,625 ?4,980

まとめ

このように、長時間通話する場合は料金にかなりの開きが出てきます。1ヶ月に200分というと長いと感じるかもしれませんが、自分から掛けた通話で3時間20分と考えると、ちょっと話し好きの人なら十分ありえる時間です。ましてや仕事で電話を使人なら短いと感じるかもしれません。
また、あまりはっきり書きませんでしたが「相手先に自分の電話番号が通知されるかどうか」も重要な点です。いわゆるオレオレ詐欺等の特殊詐欺が多い昨今、特に相手が携帯の場合は番号非通知の電話に出てもらえるとは思えません。
以上を踏まえてまとめると以下のようになります。

とにかく通話料金を安くしたいならLineモバイル

  • 1回の通話が長い
  • 通話相手は気心が知れた人ばかりなので番号非通知でも構わない
  • Line利用者との無料通話が中心

とにかく通話料金を気にしたくないならY!mobile

  • 1回の通話が長い
  • 毎月定額で存分通話したい
  • 相手に自分の番号を通知したい
  • 「Line」や「楽天でんわ」等、多くのアプリを使い分けるのが面倒
  • MNPや端末のSIMロック解除について、自分で調べられる

1回あたりの通話が短くできるならDTI SIM

  • 1回の通話は短め(5分以内)
  • 相手に自分の番号を通知したい
  • 「Line」や「楽天でんわ」等、多くのアプリを使い分けるのが面倒

明確な方向性は決まってないが、なるべく料金を安くしたいなら楽天モバイル

  • 1回の通話が長くなることもある
  • 相手に自分の番号を通知したい
  • 通話に専用アプリ「楽天でんわ」を使うことに問題がない

今回も長い記事になってしまい、しかも煩雑間満載になってしまいましたが、「Docomoのらくらくホン利用者が多い視覚障がい者にとって、選択の一助になれば幸いです。
なお余談ですが、私自身はSoftbankのiPhone利用者であり、この記事で上げたような視覚障がい者の特徴から逸脱しています(はい、最後の最後でちゃぶ台返ししてます)。なので、私自身がMVNOへ乗り換える際には、上とはまた少し違った条件判断が必要です。
今度機械があれば、そこんところを中心に記事にしてみましょう。

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